恐怖のコピー人間
あなたの家族、職場の同僚、近所人たちが、ある日別人になっていたら…
SFやホラーでしばしば出てくるテーマですが、ひとつの典型がジャック・フィニイの小説「盗まれた街」でしょう。
空から降ってきた大きなえんどう豆のさやの中の生命が、眠ってる個別の人間の波動を受け取ってコピー人間に成長し、同時にオリジナルの地球人が消失するというお話。
1956年「ボディスナッチャー恐怖の街」として映画化されたものの、日本では公開されず長らく幻の作品となっておりました。
後にビデオが出て、わくわくしながら観た覚えがあります。
「知ってる人が別人に成り代わっている」というサスペンスが、「親しい人が共産主義に洗脳される」という冷戦時代の暗喩になっていました。
主演もケビン・マッカーシーという俳優なのですが、関係あるんでしょうか。
「盗まれた街」は後に3回再映画化されますが、それぞれ異なったイメージの作品となっています。(時代背景に合わせたんでしょう)
原作小説は映画より牧歌的で、宇宙人に乗っ取られた人が主人公に向かって、
「あんたもそろそろ宇宙人になったらどうだい?」
などと勧めたり、
主人公の機転でさやの近くに人間の骨格模型を置いたら、育った宇宙人が骸骨そのままの姿で出てきたりします。
骸骨になった仲間を見つけた宇宙人が、
「凄い!こりゃ興味深い発見だ」
と喜ぶのも、なんかほのぼのしてました。